2009年 03月 13日
NYの恋人 |
NYは高校を卒業して大学生となった19歳の僕と彼女(同い年)が2人でという意味では初めて海外旅行に飛び立った、いわゆる「婚前旅行」。ってか、僕らの世代でもそんな言葉は使わないですが。とはいえ、いくら若者的に一般的とはいえこの間までセーラー服を着ていた娘が泊まりがけで男と、しかも海外へいくなんて聞いたらお父さんはきっと失神してしまう(はぁと)ってことで、彼女はお父さんにはウソをつき、そのウソにはお母さんを加担させ(お母さんサンクス<はぁと)って感じでの決死の成田テイクオフだったわけですが。←かなり大袈裟。こういうときって、なぜか母親は子供の恋愛行動というか行事?には寛大な傾向がありますよね、、、、
それはそうと今でも覚えているけど、やっぱり恋人同士で海外旅行となるとすごく大人になったような気がして。訪れたのはまだ強い寒気真っただ中の1月。それも1月1日元旦の成田発のユナイテッド航空。年が明けたこの日から航空券がガクンと安くなるんです(笑)。「年末年始を海外で」なんていう年を股ぐ行程は、お財布的にも大学1年生の僕らにはまだまだ大人の行動だったわけです。とはいえ、年が明けた正月のNYとはいえ、まだ街には十分にクリスマスの雰囲気が残り、雪がちらつきマンホールから湯気が立ち上るこの街の風景だけでも、僕らには十分「異国情緒」でありNYの刺激を感じてました。ホテルは、今でもあるけどブロードウェイにほど近いホテルペンシルベニア。団体客がよく使うエコノミーホテル。2人で討議に討議を重ねて厳選の2作品を観て。見終わった後に2人で感想を言い合うんだけど、これがお互いに英語のヒアリングの力試し的なことになっていて、お互いに「へ?そんなこと言ってたっけ?」みたいなことも多々あり(笑)コレが僕の初ブロードゥイ。昼間はもっぱら2人で美術館を巡ってました。メトロポロタン、MoMA、フリックコレクション、グッヘンハイム・・・・NY初心者な僕らは基本の基本のところばかりだったけれど、本当によく歩いたし楽しかった。
彼女がとても大人っぽい素敵なカッコをしていて。シンプルなロングコートにNYによく似合う冬の帽子。僕は当時大好きで今でも覚えている青いバックスキンのフードのついたハーフコートに、彼女がクリスマスにプレゼントしてくれた白いセーターとミッソーニのマフラー。彼女に○○くんは白が似合うね、なんて言われて、いっつもコレ着てた僕を彼女はとっても喜んでくれて。
このとき、空港で2人で並んで撮った写真があって今でも僕のパスポートケースの隠しポケットみたいなところに入ってます(笑)。世間的に見れば昔の彼女の写真を持ち歩いているようなもんであることは自覚してるけど、僕がこの写真を持ち歩いているのは未練とか彼女個人に対する感情というよりは、あのときに僕自身が感じていた開放感とか、大好きな人と一緒に旅をする喜びとか胸の高鳴りとか、そういったいうろんなものがギュッと凝縮された時間がこの中に詰まっているような感じがするから。そして、遠因として今の僕がいる原点の1つであるような気もするから。
この彼女と僕は大学を卒業してからも付き合い続けます。そして20代半ば、僕は企業留学でフィラデルフィアに旅立ち、その後仕事でボストンに移ります。この時彼女も日本での仕事を辞め、果敢にボストンの大学院への留学を成功させ、彼女自身も学問を通して「生涯の仕事」を見つけることになります。そしてそのことが皮肉にも僕ら2人の別れを招き、僕らはそれぞれは互いの仕事を優先することになるのです。石川達三でいう「青春の蹉跌」というか、これがきっと僕にとっての青春の終わり、年齢的にちょっと青春と呼ぶには遅い幕引きでしたけど。高校受験を共に頑張り、大学時代、社会人となったヒヨコから仕事の面白さを感じ始めた時代を共に過ごした彼女との9年。彼女との思い出のクライマックスがこのNYであるなら、同じくその幕引きを誘ったのもこの同じアメリカの東海岸であったことを、既に遠い昔のこととなった今、この街を訪れる度に僕は懐かしく思い出すのです。
by usatoru
| 2009-03-13 06:42
| 自分のこと
|
Comments(20)
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おれんじ
at 2009-03-13 08:38
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胸がキュン。
すてきなエピソードをありがとう。
すてきなエピソードをありがとう。
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at 2009-03-13 11:12
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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マロンフィールド
at 2009-03-13 12:35
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greenlove
at 2009-03-13 17:49
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うーん! 青春の一コマですね。9年も付き合って別れで終わる…そして今は同性の恋人がいるって・・波瀾万丈ドラマみたいですね。今彼女はどうしてるんでしょうね。
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poc
at 2009-03-13 20:25
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NYだから絵になるような気もするなぁ~
かっこいぃぞ
ところで、NYの美術館(館???)でTenement Museumってご存知ですか?
ちょっと変わってますが、とても面白いです。もし興味と時間があれば、是非。
かっこいぃぞ
ところで、NYの美術館(館???)でTenement Museumってご存知ですか?
ちょっと変わってますが、とても面白いです。もし興味と時間があれば、是非。
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olive
at 2009-03-13 20:46
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TAKU
at 2009-03-13 23:34
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青春ですね~。な・つ・か・し・い。
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mai
at 2009-03-14 15:07
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今まだ青春真っ只中にいる私としてはかなり切ない気分になりました。
でも9年付き合った彼女と別れ、また運命の人と出会って幸せになっている文太さんに勇気をもらえました。ありがとうございます。
でも9年付き合った彼女と別れ、また運命の人と出会って幸せになっている文太さんに勇気をもらえました。ありがとうございます。
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MER
at 2009-03-14 23:01
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ニューヨーク!ニューヨーク!身につまされ過ぎます。
雪の舞う五番街のセントパトリック大聖堂、MOMA,ブロードウェイの芝居がハネた夜更けの賑わい・・まさしくわが青春の思い出です。
そして・・・同じようにNYで別れたけれど・・・なんと10年後に再会したNYで「焼けぼっくいに火が」ついちゃったんですよ~!もう大変でした。文太さんもご用心を!(はぁ?)
それにしても、いきなり出てきた石川達三の「青春の蹉跌」に、またまたドッキリ。これもまた、浅からぬ縁のあるわが青春の一冊なんですよ~。なつかしいなぁ。
雪の舞う五番街のセントパトリック大聖堂、MOMA,ブロードウェイの芝居がハネた夜更けの賑わい・・まさしくわが青春の思い出です。
そして・・・同じようにNYで別れたけれど・・・なんと10年後に再会したNYで「焼けぼっくいに火が」ついちゃったんですよ~!もう大変でした。文太さんもご用心を!(はぁ?)
それにしても、いきなり出てきた石川達三の「青春の蹉跌」に、またまたドッキリ。これもまた、浅からぬ縁のあるわが青春の一冊なんですよ~。なつかしいなぁ。
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sally
at 2009-03-15 17:47
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「青春の甘酸っぱい」というより・・・大人ストーリーですよ、10代から!!
そんなお年からこんなステキな恋愛をされていたなんて・・・(自分のその年を思い出すと、がっくりきます。)
そんなステキな思いで昔の写真を持ち歩けることも素晴らしいし(それなら納得できます。うん。)、これだけ思い出を残せるその彼女もうらやましい!
文太さんの人徳ですな。
そんなお年からこんなステキな恋愛をされていたなんて・・・(自分のその年を思い出すと、がっくりきます。)
そんなステキな思いで昔の写真を持ち歩けることも素晴らしいし(それなら納得できます。うん。)、これだけ思い出を残せるその彼女もうらやましい!
文太さんの人徳ですな。
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usatoru at 2009-03-20 01:19
おれんじさん。素敵かどうかわからんですけど、どういたしまして(^^;
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usatoru at 2009-03-22 00:38
aquq_blueYさん。すべてのこと、そして通り過ぎてきた過去の全てが今の自分につながってるんですよね(^^
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usatoru at 2009-03-22 00:39
マロンフィールドさん。ブロードウェイ飛び込みレッスンってのはすごいですね。で、デビューの予定はいつに??(笑)
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usatoru at 2009-03-22 00:40
Greenloveさん。今、彼女は米国人と結婚し、そして遠くアフリカの地で頑張ってます。お互い連絡とりあってますよ(^^
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usatoru at 2009-03-22 00:41
pocさん。NYなら何があっても許せてしまう雰囲気はあるかも、ですねー。ちなみに行ったことないんで行ってみます、その美術館!
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usatoru at 2009-03-22 00:42
oliveさん。月日が経って思い出すと、誰しもの経験も「ドラマ」のような感じがするような気がします(^^
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usatoru at 2009-03-22 00:43
TAKUさん。そうですねー、すっかり青春も遠くなりにけり。。。。ですが(T.T)
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usatoru at 2009-03-22 00:44
maiさん。青春真っただ中というのは、それはそれで大いに楽しんでください!大人になって、どんな経験もきっと素敵なものになってますよ。
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usatoru at 2009-03-22 00:45
MERさん。すごいですねー、それはそれで(^^; で、その後の経過も気になりますが、いずれにしてもお幸せに~。
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usatoru at 2009-03-22 00:46
sallyさん。10代ですね、そう言えば。まあ大学生ではありましたけど。素敵かどうかっていうより、でもなんか一生懸命だったかなあ。