2010年 04月 12日
追悼と、そして・・・・ |
一方で、これはまた偶然ではありますが同じくファッション業界で今最先端をいくデザイナーであったアレキサンダー・マックイーンがこの2月に命を絶ちました。タクシー運転手の子供としてロンドンの下町に育ち、高校に行かずに仕立て屋に入門、その後世界の著名デザイナーやボーグなどの編集長などを排出するロンドンの名門セント・マーチン(美術大学)に学び・・・前衛的な作風ながらジバンシィのデザイナーに抜擢されるなど、傍から見ればパリコレの花形としての確かの地位と、そしてそれまでのシンデレラ・ボーイ的背景も合わせて羨望の人生であったとも思います。自分のブランドもグッチの傘下として活動している中、過日、最愛のお母さんとの死別直後に自殺したと。
それぞれの死は、外電が伝える記事を読んだだけに真相や詳しい背景を僕は知るよしもありません。しかし、これほど世界的な有名かつ若い命の終焉に僕は、ある種の共感・・・とまではいかないまでも、推測でしかありませんが彼らの持つ孤独感が大きな要因の1つでもあったように思うのです。特にA・マックイーンに至っては40歳、僕と然程年齢も変わらない世代であり、また仕事というフィルターを通しても世代的に、あるいは男としても何かしかの共感というか共通するものがあるわけです。僕など彼らの持つ才能や功績とは雲泥の差というか、縁もないほどの人生を歩んでいるわけですが、それでも人はそれぞれの人生の中で大なり小なり何かしか彼らが抱える孤独のようなものを抱えて生きているような気もするのです。
マスコミやメディアを通して断片的に出される彼らの情報は、あくまでも彼らの素顔ではありません。真実であってもごくごく一部でしかありません。そして、彼らが人々に夢を与える存在になるにつけ、彼らはおそらくそれらの期待に応えようとしてきたはずです。とはいえ、彼らも皆普通の人間、悲しいこともツライことも、あるいは醜いこともあって当然です。真面目で、真摯である人ほど人の期待に応えようとし、本来の自分の欲求や夢とは別な方向に進んでしまうことがあります。
アレキサンダーは母親の死のあとを追ったと言います。母親とは兄弟とは違った意味で唯一地の繋がった、全ての自分を知る存在。彼にとっては母親が自分が世に知られたアレキサンダー・マックイーンではない「自分」を知る唯一の存在、言わば逃げ先であり心の拠り所だったのかもしれません。
世界の富豪が住まうジュネーブの街。街中には数多くの一流ブランドと呼ばれるショップが立ち並びます。日本をはじめとする海外のショップと比べるとジュネーブでの店構えはそれぞれ非常に地味で、そのことはかえって、それが自らの居場所を誇示し、かつきらびやかな店構えで客を呼び込まずとも十分に商売ができる土地柄とその客層を感じさせます。おそらく競争も激しいファッション業界の中にあって、ジバンシイやグッチといった彼ゆかりのブランド店の前を通り、春めいた明るい日差しのレマン湖畔を歩きながら数ヶ月前に起こった彼らの訃報に改めて想いを馳せた僕なのでした。
by usatoru
| 2010-04-12 23:08
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Comments(2)
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at 2010-04-13 06:47
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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usatoru at 2010-04-25 11:51
鍵コメMさん。なるほど・・・・有難うございました・・・。
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