2017年 07月 21日
弟の夫 |
僕も、この作品が一般誌に連載開始になったことは聞いていたのですが、多くの人がネット上などでも「いい、いい」と言っているものだから、全巻買って読んでました。なんか胸が熱くなったり苦しくなるようなシーンは確かにある。そして、僕らの場合はきっと自分自身がゲイだから、登場人物の誰かしかに共感したり、あるいは自らが封印している想いを改めて感じたりとか、いろいろな想いで読むからこそある種の感動みたいなものもあるのかもしれません。いや、感動っていうのと違うな、こういう話題でしんみりあったかい気持ちになる、ということ自体が僕らには新鮮なのかもしれません。話の内容自体は何か奇をてらったりしたものでもなく、ある意味においては想定内というか、ごくごく普通。
これはゲイが読むのと、いわゆるストレートの人、あるいはストレートでも男性と女性が読みのでも読後感のようなものは違うかもしれません。ただ、ゲイの場合は先にも書いたように、ああこんな温かい人達に囲まれていたら幸せだな、こんな風に自分たちを少しでも受け入れてくれる人や社会が広がっていくといいな、ああこの登場人物は僕のことだな(かつての僕だな)、とか、あるいは普遍的な人間と人間の愛情とかいろんなものが心の中をよぎる感じなのかな、と思います。ここにも何人かのゲイが登場します。若干ネタばれですが、弟の夫は勿論ゲイでカナダ人という設定、その弟もゲイなわけですが既に故人、あとはそれぞれ僕らゲイの世界では十分にありえる設定のゲイが何人か要所要所に出てきて、そのリアリティや悲哀、時には回顧的な感じで彼らを僕らは自分に投影したりしながら読み進めているんだと思います。
電子版もあるので興味ある方は、読んでみてください。
by usatoru
| 2017-07-21 17:30
| 文太リコメンド
|
Comments(2)