2010年 01月 03日
あの頃の世界 |

あの頃の東南アジアは、平和と安定を前提にした豊かさの背中が見えてきた頃。僕の世代では、例えば韓国やシンガポールなどはNICSとかNIESなどと言われて(今や死語ですね)、新興工業国として勃興してきた頃。まだ僕くらいの世代でさえ、韓国は軍事政権下の貧しい国、台湾はバナナの産地、香港は香港フラワーと言われた造花などのイメージしかなかった時代。マレーシアの主な輸出物はスズやゴム、タイは米、なんて具合で社会科の授業に習いました(笑)。まだまだ東南アジアは貧しいイメージでしかなかったけれど、活気があった。中国に至っては、北京や上海でも皆人民服を着て、外国人の僕を珍しそうにジロジロ見るようなそんな感じでした(笑) そう、カンボジアは70年台後半の4年弱のポルポトの恐怖政治後の内戦などで、他のアジア諸国よりスタートが遅れた分、あの頃のアジアの空気を今再現しているような、そんな感覚が僕にはあり、だからカンボジアに懐かしさを感じるんだろうと思います。

日本という国はもう20年近くを失意と無力感の中にあり、未来よりも過去の栄光を懐かしがり、実際に未来を見ようにも明るい話題もなく、もともと備え持つ自虐性?もあってどうにも「活気」というもの自体が非日常であるような国になってしまっています。だからこそ、カンボジアのように復興と、未来への豊かさを求めての生きることに対する貪欲なまでの執着に、ある種眩しさを感じるのかもしれません。もっとも、この光景も首都であるプノンペンだからこそであって、中国などと同様に農村の貧困はおそらくまだまだ過酷な状況であることは想像に難くないわけですが。
歴史を巡る旅が好きです。・・・と言うと、一般的にその多くは例えば京都・奈良巡りであったり、ヨーロッパの古い石畳や、世界中のユネスコの世界遺産を巡り旅を意味することも珍しくはないのですが、歴史のコンテンツはハードとしてもソフトとしても美しいものも醜いものもあるはずで、そうしたものを包括して「歴史を巡る」という意味でもカンボジアは思うところの多い国。クメールの強大な国力と平家物語を思わせる諸行無常のアンコール・ワットの遺跡、ポルポトの負の歴史、内戦、そして平和への変遷を、街行く子供たちの顔に重ねて見ている自分がいます。そして、歴史同様、街を歩き未来を感じることのできる旅もまた楽しい。
ホコリにまみれて歩くこの街は、決してお洒落も素敵でもなく(笑)ショッピングを楽しむようなところでもないけれど、いつも仕事で訪れる取り澄ました空気ばかりのオフィスビルや、グローバルスタンダードなビジネスライクな人達に囲まれている僕にとっては、やっぱりこういう空気を時々吸って、時に自分自身の歩んだ道や人間としての感性、あるいは未来に向かって歩くことの意味を感じる旅も必要なことだな、と。

by usatoru
| 2010-01-03 22:13
| 旅
|
Comments(6)

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あけましておめでとうございます。
韓国料理レシピが満載のブログ「アナバコリア 韓国料理レシピ集」を今年も宜しくお願いします。
今日は「甘辛コチュジャン鶏焼」のレシピをアップしました。
韓国料理に興味がありましたら、参考にしてみてください^^
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鍵コメMさん。甲斐がありましたかー(笑)今年もよろしくです!
lbizkoreaさん。韓国料理のレシピって意外に知らないもんですよね。最近は料理をしない僕ですが、機会あれば是非!
鍵コメYさん。さて誰でしょう~