思い出すべきこと

欧州に知人に多少嫌味も含めてと思われるものの、こんなことを言われました。

「放射線漏れの関東を逃れて、西の広島や長崎に逃げるのもなんだか皮肉な光景だね」

勿論この言葉の裏には、原子力利用への問題意識の高さのある欧州において、しかし現実には多くが原子力利用に頼っている中で「反原子力」を主張する人間のものです。そもそも原子力にかかわらず、人間の力による解決策が見いだせないことを何せよ実用化すること自体ナンセンスであるように僕は思います。本質的に公害なども同じことで、排出される排煙や二酸化炭素やオゾン層の破壊等々を招く公害を生み出しながらも、これらのことから派生する地球温暖化や異常気象などに対する施策を模索をするも僕たちはその解決策を未だ知らないのです。

とはいえ、原子力利用については、僕は今まであまりにも不勉強だったけれど、結局のところ基本的には使わなくてもよい方法や生活を積極的に考えていくべきではあるかと。代替えエネルギーの技術開発等々はやはりもっと研究されてよいとは思うし、電力についてももっと使わなくてよい生活を探究する必要もあるでしょう。

一方で、僕自身はおそらく東京で生活をする中で健康を害する被ばく量ではなかったとしても、実質問題通常生活の中ではなくてもよかった被ばくをすることになったと解釈しています。そして、メディアなどは記憶に新しいところでイメージをつかみやすいと見たのか、今回の福島原発での事故をスリーマイル島やチェルノブイリとの比較で説明しようとします。しかし、日本はそうした原発事故としての記憶以前に、広島や長崎に原子爆弾という形で多くの人達が、「漏れ」などということ以前に「核爆発」という凄まじさでダイレクトに何万、何十万という人達が一気に被ばくした経験があることをまず思い出すべきだと思います。

広島を例にとれば、広島中心部で被爆した人などがよく話題に上りますが、おそらくあの原爆投下による光、放射能汚染は広島県全域や周辺の瀬戸内地域や周辺各県でも多くの人が今よりももっと甚大な被ばくをし、健康を害したはずなのです。今の福島原発の事故による真実は、人の心理的な同様やパニックを抑えるために何らかの情報操作があってもなくても、時にはそういう判断も治安上必要は場合もあるかもしれない。勿論僕らは正確な情報は知りたいけれど、知ったところで逃げる場所も逃げるアテもない人だったたくさんいる。下手に不安を増長させるよりも、まずはこの原爆というそれこそ「最悪のケース」がこの国で既に66年前に起こっている事実を今一度思い返し、そしてその比較を通して改めて原子力利用の今後や、あるいは風評による様々な不安を取り除き、少しでも安心をさせる施策を考えてもよいように僕は思います。