2011年 03月 26日
サクラ列島 |
今年、日本人はこの花の季節をどんな気持ちで迎え、そしてどんな気持ちでこの花を眺めることになるのでしょうか。淡いピンクの、雪にも見えるこの花の儚さは、その美しさゆえ毎年のことながら日本人の琴線を揺さぶります。その抒情と儚さの裏の、世の無常と人生を重ね合わせる無意識の心理が、もしかするとその繊細な日本人の心の中で改めてこの災害の傷を自ら深めるようなことにはなりはしないか・・・と少し心配になったりもします。
とはいえ、その一方で、津波に洗われ土砂に埋もれた死の街にも見える被災地であっても、春遅い東北の地ではあるけれど、あと1カ月もすれば小さな緑が芽吹き、場合によっては半ば瓦礫の中で枯死したかに見えた折れた桜の木が蕾を膨らませ花を咲かせることもあるかもしれません。それが例え土砂から覗く数輪の桜であったとしても、それはそれで生きること、復興、再生の何よりもの望みと希望の象徴であると思います。
この災害がこれから厳しい冬を迎える季節や、あるいは真夏の猛暑の中でなかったことは、不幸中の、大不幸の中の本当に小さな小さな幸いだったかもしれません。まだまだ雪も降り寒さの続く東北地方ですが、もうしばらくで本来この土地の持つ豊かな自然と山々、田園風景の広がる土地に、生命力溢れる瑞々しい緑が覆い広がります。今は灰色にしか見えない風景が、これもまた自然の力で一面が緑色に彩色され命の息吹感じる季節が巡り、景色に色がつくことは、少なからずこれからを生きる一寸の望みとして捉えられるではないかと思うのです。
今年は皆がうら悲しく眺める桜かもしれない。本当は一緒に春を迎え共にこの花を眺めたであろう人を失った人も多いでしょう。でも、この春は無理であっても、数年後に迎えるこの花の季節には、少しほろ酔い気分で花を愛で、少しの鼻歌でも歌えるようなそんな春が、、、再びこれまでの春のように日本中で花に浮かれ酔う、そんな花の季節が人々に早く再来することを願ってやみません。
by usatoru
| 2011-03-26 08:37
| 日常生活
|
Comments(4)
Commented
at 2011-03-26 11:28
x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented
by
greenlove
at 2011-03-26 17:47
x
阪神淡路大震災の時も廃墟の街にさきはじめた「ひまわり」が被災者に
ほんとに大きな希望と喜びを与えました。
美しい自然は生きる力となります。
桜はきっと被災地にも美しく咲くことでしょう。
それを見て新たな涙を流す方もおられるでしょうがひとときでも心癒されることを願います。
自然も悲しんでいるかのように春の来るのを拒んでいるのでしょうか。
神戸にも今日は雪がちらつきました。
ほんとに大きな希望と喜びを与えました。
美しい自然は生きる力となります。
桜はきっと被災地にも美しく咲くことでしょう。
それを見て新たな涙を流す方もおられるでしょうがひとときでも心癒されることを願います。
自然も悲しんでいるかのように春の来るのを拒んでいるのでしょうか。
神戸にも今日は雪がちらつきました。
0
Commented
by
さとこ
at 2011-03-26 18:24
x
本当に文太さんのおっしゃる通りですね。
私は北海道に住んでいて無事でしたがTVニュースを観るたび、なんともいえない切ない気持ちになります。
わずかばかりですが義援金を送りました。
被災者の方々がどんなお気持ちで桜を眺めるだろう、と私も思います。
一日も早い被災地の復興を心より祈っております。
私は北海道に住んでいて無事でしたがTVニュースを観るたび、なんともいえない切ない気持ちになります。
わずかばかりですが義援金を送りました。
被災者の方々がどんなお気持ちで桜を眺めるだろう、と私も思います。
一日も早い被災地の復興を心より祈っております。
Commented
by
Nobu
at 2011-03-27 10:10
x
文太さんのお気持ちに共感しました。
長く厳しい冬の寒さに耐え、まもなくその美しい花を咲かせようとしている桜が、悲しみにうちひしがれた人たちの心をほんの少しでも癒し、元気づけてくれることを願ってやみません。
長く厳しい冬の寒さに耐え、まもなくその美しい花を咲かせようとしている桜が、悲しみにうちひしがれた人たちの心をほんの少しでも癒し、元気づけてくれることを願ってやみません。