2013年 08月 21日
語学教育 |
決して差別的な意味ではないことを事前にお断りしておきますが、例えば日常的に家庭でも英語を話すアメリカ人でさえ高学歴かつ専門職の両親に育てられた子供と、そうでない家庭の子供は普段日常的に浴びている語彙の数に雲泥の差があり、算数の計算力の差を縮めるよりもその差を埋めることは難しい、、、というニューヨーク・タイムスが最近記事にしていました。
一方で、僕の友人夫婦がアメリカに移住して、あちらで生まれ育った子供たちがいるんですが、5歳の時のサマーキャンプの口答試験で上位に入りつつも、家庭で英語を話していないことが原因と思われる基礎的な語彙不足を指摘されたと言っていました。
そう考えると、日本に生まれ育った一般的な日本人の僕らも、いかに豊富な語彙や豊かな言葉で日常的に会話をしているかを振り替えざるを得ません。むしろ圧倒的に貧弱な語彙の中で暮らしている人が多いのではないでしょうか。夫婦の会話、親子の会話、仕事での会話。簡単な端的な言葉と、そして今はメールでの絵記号やLINEのスタンプ機能など、既に言葉や語彙ではなく、むしろ原始時代の絵文字の時代に逆戻りの様相?というのはちょっと大げさですが(笑)。←コレ。
いわゆる情報に限りのある村社会のような時代であれば少ない語彙で一生暮らすことはできたでしょうが、今のような情報過多な時代に社会生活を続けるためには覚えなければならない語彙は膨大となり、結局、それを補うためには読書以上の効率的な語彙取得の手段はないように思います。振り返れば、僕自身も今の自分がどうかは客観的に判断できないけれど、子供の頃から読書量はかなりのものでした。親が「○○全集」なんてのをよく買ってくれたけれど、全巻全部渡すとまるで寝食忘れて、、といった感じで没頭するので、「毎月1回届く」とか言われて1か月に数冊だけ渡されたりとか、そんな子供でした。
それはそうと、子供が言葉を覚えるにあたって、赤、緑、黄色を先に覚えるのではなく「色」という抽象概念を最初から理解することはないですよね。そう考えると、結局は基本のデッサンも知らずに抽象画を描けないように、楷書を知らずに草書を書けないように、言葉も具体的な知識が積みあがらないと抽象概念を扱う力がつかないってことだと思うのです。
そう考えると、旧来「親」という人たちがやってきた「読み聞かせ」というのは、子供にとってあらゆる未来への扉であるような気がします。例え高学年であっても親が教えられる言語で本を音読し、ニュアンスや、物語の中の「なぜ」を問い続け吸収した語彙、そして感性。その訓練は、まさに情緒教育にもつながるものでもあるし、そして後日テキストを開いて学びとれるような一朝一夕の知識ではないのだと思います。
まあ、そうは言っても僕には肝心の子供がいないんだなあ(笑)。
by usatoru
| 2013-08-21 21:56
| つぶやき
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Comments(6)
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nouvelle
at 2013-08-21 22:59
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あなたが子供を育てないなんて、、残念ですね。
わたくしには、もう成人した娘がいます。持てる知識をすべて伝えようと、、いまだに時間を作って会ったり、旅行に行ったり。
ことばにしろ知識にしろ伝えることで自分も再認識したり、ウィッキーさんで調べなおしたり、と愉しみをあじわえます。
わたくしには、もう成人した娘がいます。持てる知識をすべて伝えようと、、いまだに時間を作って会ったり、旅行に行ったり。
ことばにしろ知識にしろ伝えることで自分も再認識したり、ウィッキーさんで調べなおしたり、と愉しみをあじわえます。
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miffy5769
at 2013-08-22 01:13
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在米なので、2人の息子はバイリンガルですが、仰るとおり、メイン言語は英語なので、日本語は一般会話に不自由しない程度、でしょうか。
一口に「日本語が喋れる」と言っても、その背景には日本の文化、習慣、歴史、宗教などがあり、翻訳には限界があります。
もちろん、どの言語にも同じことが言えると思いますが。
尊敬語、謙譲語、さらに古文になると、若い世代の日本人でも、理解していない、使いこなせない方が多いのではないでしょうか。
また、文字離れのせいか、うちの子供たちは読解力に欠けている、と思います。
個人的に、読解力は才能もあるとは思いますが、訓練である程度は身につくとも思うので、もっと本を読んでもらわないと。
一口に「日本語が喋れる」と言っても、その背景には日本の文化、習慣、歴史、宗教などがあり、翻訳には限界があります。
もちろん、どの言語にも同じことが言えると思いますが。
尊敬語、謙譲語、さらに古文になると、若い世代の日本人でも、理解していない、使いこなせない方が多いのではないでしょうか。
また、文字離れのせいか、うちの子供たちは読解力に欠けている、と思います。
個人的に、読解力は才能もあるとは思いますが、訓練である程度は身につくとも思うので、もっと本を読んでもらわないと。
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queenanneboy
at 2013-08-22 02:07
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読書離れからくる語彙の少なさ&そこから来るコミュニケーション力不足は確かに問題ですね。キレやすい子が増えた背景には、自分の感情を的確に表現する表現を知らないからだ、という説もあるそうです。ただ、それでも識字率が限りなく100パーセントに近い国は、まだ恵まれているのかも知れないな、とも。。。文字の読み書きのできない人が多い国もこんなにあるようです。
http://en.wikipedia.org/wiki/List_of_countries_by_literacy_rate
http://en.wikipedia.org/wiki/List_of_countries_by_literacy_rate
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mai
at 2013-08-22 07:29
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文太さんのおっしゃる通りで、母語がしっかりしていないと第二外国語は伸びないんですよね。でもその辺を分かってない人多いかな?と言う気がします@日本。
ネイティブ並みの発音が出来てもスカスカの語彙じゃあ...
息子達に日本語も限りなく母語のドイツ語に近づけるためにしたことは、子供の時にドイツ語の本をなるべく沢山読み聞かせ←私じゃないですよw私は日本語担当。でした。
それでもドイツ語の特に副詞と形容詞が少ないって言われましたっけ...
日本語は英語やドイツ語に比べて語彙の多い言語です。
豊かな情緒表現、伝えたいですよねぇ(。・・。)
ネイティブ並みの発音が出来てもスカスカの語彙じゃあ...
息子達に日本語も限りなく母語のドイツ語に近づけるためにしたことは、子供の時にドイツ語の本をなるべく沢山読み聞かせ←私じゃないですよw私は日本語担当。でした。
それでもドイツ語の特に副詞と形容詞が少ないって言われましたっけ...
日本語は英語やドイツ語に比べて語彙の多い言語です。
豊かな情緒表現、伝えたいですよねぇ(。・・。)
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at 2013-08-22 19:53
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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ビクトリア
at 2013-08-23 00:01
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言葉は常に現在進行形だと思います。私も読書量は多いと思いますが、過去の積み重ねと今の読書では追いつかない〜。英語でさらっと読んで意味は判ってもそれを日本語で書き表す翻訳となると己の語彙の貧困さに打ちのめされます。楽しみの為の読書だと得られる語彙も限られるので、日経新聞を読むようにしています。興味のない記事でも根気よく。