2020年 05月 19日
手をつなぐこと |
「日本はそうよねえ」「欧米ではそんなことないよ~」なんてことはよく当事者ではない外野には言われるんだけど、実際当事者にしてみるとそれは第三者が表層的なことだけを知った風に言ってるだけっていう側面も正直ある。どんな気持ちで、どんな覚悟で?。。とか、手をつないている本人達も潜在的無意識的にいろんなことを思ってるわけで。
世界で初めて同性婚を合法化したオランダだって、実はそうしたLGBTを許容する社会っていうのは国民全体の総意では全くないし、実際にオランダでも最も先進的なアムステルダムに住むゲイだってその7割が差別や偏見を経験してるっていうデータもある。あと、カミングアウトしても「親戚には黙っていようね」とか、母親に言ったら「お父さんに言わないでおこう」とか、そういう話も結構よくあるって。まあオランダとか、あるいはサンフランシスコあたりは世界でも視覚的にはすごくLGBT観点で先進的で寛容って言われるけど、その実、当事者的には意識的にもすごく「ノンケ夫婦」よりも頑張って生きているし、生活しているって正直思うわけ。そういう生活を何十年もやってるから、それが僕らの宿命や人生だから、そういう頑張りや緊張感が日常になってしまって不感症みたくなってるということも言えるけど。
アムスやサンフランシスコと同じように、日本でも2丁目あたりだとぜんぜんみんな自由に自然に生き生きとしてるのと同じかな。まあ、2丁目は狭いエリアだし基本的に飲み屋街だから生活の場ではないけれどね。
で、手をつなぐっていうこと。栗助は2人で散歩すると結構手をつないでくる。腕を組んできたり。僕もそれに付き合うんだけど、ちょっと嫌がる風体で(笑)。まあ、いやっていうか、やっぱり人目を気にするみたいなとこある、やっぱり。思い切り振りほどいたりはしないけどね。恥ずかしいっていうより、好奇の目が嫌なんだな。向かいから人が歩いてきたりしても、僕も「頑張って」栗助と手をつないで通り過ぎる。こういう時は、もじもじとかせずにむしろ向かいから来る相手の顔を見るような感じですれ違うようにしているのが、最近の技。こちらがおどおどして目を逸らしていると、きっと「なにあれ、男同士で?」みたいな感じで手をつないでいる僕らを見るわけ。あるいは、僕らを見ていなくても「見ないようにしよう」的な空気があちらにも流れていて(それが優しさや配慮であったとしても)、いずれにしてもそういう「わざとらしさ」というか自然な感じではない空気が僕は嫌。ならば、こちらからそちらに視線を投げていれば、相手は見たくても見れないだろう、的な戦略。
って、まあなんともこんなこと考えながら、自然にリラックスもせずに歩くわけです、僕らが手をつなぐっていうことは。メンドクサイけど、まあこんなことをもう何十年もやってるし、これからもそうなんだと思います。何気ないこと、普通のことが、今コロナで改めてそれがシアワだったんだと気づくことも多いこの数か月。誰かと手をつないだり、寄り添ったり、公園の芝生の上で膝枕したり、あるいは膝枕じゃなくても2人で弁当を開いたり、、、そういう普通のことが、すごく幸せなことで、そしてそれができない人たちの存在もあるっていうこと。男女にとっては普通で、婚姻届けを「紙っぺら」っていうけど、その紙っぺらでさえ手に入らない人たちがいるということ。その神々しいまでの紙っぺらは手に入らなくても、市町村が発行するなんの保障も権利もあるわけではない、ただ2人はカップルだよね、って認めてくれるだけの「同性パートナーシップ証明書」。でもそれをもらっただけで嬉しくて涙ぐんでしまう人たちがいる。
まあ、ゲイがどうこうとか、僕らがどうこうってことじゃないんだけど、僕にとっては当事者として身近な話題だから書いただけだけど、こうしたことにかかわらず、皆が今までや今の「普通」がいかに幸せなことなのか、だったのかということを、このコロナを機会に考えてみると、改めて自分の人生や生活、そしてそれを取り囲む友人知人や家族に感謝と愛情を感じられると思うんだよね。
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by usatoru
| 2020-05-19 15:29
| 同性愛考・・・
|
Comments(4)
Commented
by
loveroma2019_v30 at 2020-05-20 15:48
様々な出来事を手をつなぎ乗り越えての長い年月、
運命的で必然な出会いだったのでしょうね❣️
20年ほど前、
エリザベートが愛した街をブラブラしてた時のこと。
私の少し前を歩くトレンチコート姿で手を繋ぐ二人連れ、後ろ姿からもホンワカした雰囲気が漂って素敵でした。
私がジッと見てた(そんなつもりは無かったけど💦)のを感じたのか?
一人が後ろを振り返って私に微笑んでくれ、
私も自然に微笑んでサラッと受け入れられたことが嬉しかったです。
なんだか勝手に、
その時のことを思い出しながらいつもこのブログを読んで笑ったり考えさせられたりしています。
カニの味噌汁、いつか作ってみてね❣️
運命的で必然な出会いだったのでしょうね❣️
20年ほど前、
エリザベートが愛した街をブラブラしてた時のこと。
私の少し前を歩くトレンチコート姿で手を繋ぐ二人連れ、後ろ姿からもホンワカした雰囲気が漂って素敵でした。
私がジッと見てた(そんなつもりは無かったけど💦)のを感じたのか?
一人が後ろを振り返って私に微笑んでくれ、
私も自然に微笑んでサラッと受け入れられたことが嬉しかったです。
なんだか勝手に、
その時のことを思い出しながらいつもこのブログを読んで笑ったり考えさせられたりしています。
カニの味噌汁、いつか作ってみてね❣️
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at 2020-05-20 20:20
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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by
usatoru at 2020-05-22 17:03
Loveroma2019さん。まあ、見る方になんの他意もなくても目立ってしまうのは、致し方ない社会ですかねえ(笑)神のみぞ知る、、、w
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by
usatoru at 2020-05-22 17:06
鍵コメMさん。コメントで書くほど軽いお話ではないですけど、、、結局恋人にせよ夫婦にせよ定型はないんですよね。ただ言えるのは、人と比較したり人を羨むことで幸せになる試しはないから、まずは自分たちをみつけ互いに、そして自分の誠実になり向き合うことから始まるのかなあ、なんて思います。いうほど簡単なことじゃないですけど、でもそうやって生きていかなくちゃならないですしね。迷いながらもお互いに頑張りましょう!