2021年 02月 01日
土地の名前 |
秋田と言えば大仙ですよね。春の桜の季節とか、花火を見に大仙とか、きっと多くの人が一度は行ってみたいなあ、って思うと思うんです。というか、大仙なんて知らないし、そもそもそれって秋田なの?というか、東北なの?って思う人が殆どですよね。仙っていう字がつくと、仙台の周辺?みたいに宮城かとも思ってしまう。
実は、大仙というのは、いわゆる角館や大曲のことです。この界隈の周辺市町村の合併で出来たのが大仙市。まあ、地元に人は知っていても、全国区的に言えば大仙というのはまったく馴染みのない初めてきく名前だったりするのが事実。
地名っていうのは、歴史の流れで読み方や呼称が変わったり、これまでも明治期以降で町村合併などで変遷を重ねているものだけど、でも、角館といえば武家屋敷や桜並木で有名な有名な城下町かつ観光地、そして大曲は日本の三大花火大会の1つとして知られる街。こうした全国区かつ古い名前を消してしまったのは、本当にもったいなかったなあって思います。もちろん、ただ合併した町村の名前を羅列するだけの太陽神戸三井銀行(古っ!)みたいなのはナンセンスだし現実的ではない。きっと、これは近代になってからの周辺の中心都市である大曲の自負と、藩政時代からの城下町としてのプライドと全国区のブランドネームを持つ角館、(あと他の町なども合併に加わっているんだろうけど)のプライドと愛着の綱引きの結果、大曲の「大」と郡名の仙北の「仙」をとって大仙になったという経緯らしい。互いの名前を捨てることで「公平」であろう、みたいな判断だったんだろうなあ、ってことは容易に想像がつきます。
で、もう新市名になって20年近くたつらしいけど、少なくとも全国的には大仙っていう名前はあちこち旅する僕でさえ初めてきくくらい。大曲とか、角館というがある意味でなくなっているなんて思いもしなかった。
っていってもねえ、市町村合併が日本各地でたくさんあったけれど、こうも有名な土地の名前を持ちながら、その名前の価値や、今後の観光や地域起こしのブランドなどを考え方ときにあまりにも安易な帰着だったんじゃないかなって思います。勿論正義は1つではないし、ヒトの感情は一筋縄にはいかないものだけれど、僕であれば新制の市名は、歴史ある藩政の城下町であり新しい市の最もメジャーで全国区の観光スポットでもある「角館」の名前を残し、角館市とする一方で、市庁舎を実質的中心都市の大曲に置く、みたいなのが将来の地域振興に役立ったのではないかなと。
栃木県の日光市なんかは、やはり日光という大ブランドを捨てずに周辺市町は自らの名前を捨てて、新制日光市として名前を残しましたよね。今市市という日光よりも大きな都市も、あるいは鬼怒川温泉とか多くの有名温泉地を持つ町も、自らの街の名前に愛着も、そして当然歴史もある中で、長期的かつ自治体の武器としての「日光」という名前を残すことを決断してる。仮に、これが日光市と今市市をはじめ周辺市町村が新市名で揉めて郡名とか「塩谷市」なんて名前になったら、とてつもないソフトとしての損失だっただろうなあって。

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by usatoru
| 2021-02-01 17:53
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