ルーマニアに来ました。

実は先週末からイスタンブールを経由して、1986年以来のつきあいであるルーマニアに仕事で来ています。毎年数回は来ている国、かつコロナの騒動で一昨年の2月にシドニーに行って以来、1年5か月ぶりの海外。って、まあこの時期に海外に行く人自体がまだ珍しいですよね。週末は現地でゆっくり街を散策しました。御覧のとおり、ノーマスク。建物の中などはみなマスクをしていますが、商店やレストランなどほぼ日常に戻っています。

ルーマニアでは現在人口2200万のうち毎日の感染者数が国全体で50人前後で推移しています。ワクチンは街のあちこちにブースがあって、そこに行けば予約不要でファイザーやモデルナなど5社の製薬会社の中から好きなものを選び接種することができます。だいたい10分くらいでOK、という気軽さ。

空港や国際便が発着する鉄道駅でも、到着客は外国人も含めて誰でもワクチン接種を受けることができます。この場合は1回の接種でOKなジョンソン＆ジョンソンのワクチンのみ。これを目当てにやってくる外国人も多いようです。いずれも予約がいらないので、予約システムをお金や時間をかけて構築するとか、そのバグを修正したり不具合が問題になったり、お年寄りがＩＴを使いこなせないとか、電話がかかりにくいなどといったことが全くなく、ただ自分にとって便利な時間に身近なブースに行き接種を受けるだけなので混乱がない。
もちろん、これができるのはワクチン在庫が潤沢であることが大前提で、日本では簡単にできることではありません。今、欧米などのワクチン製造可能なエリアへのワクチン余剰在庫と偏在が問題になっていて、ワクチンを製造できない日本などの国はワクチン不足や供給不安が恒常的になっているというのが実態。
あとは、こちらでは混合接種も一般的。1回目はファイザーで2回目はモデルナといったような。本来は同じものを2回打った方がいいでしょうが、若干効果が落ちることはあっても早めに打ちたいとか、ワクチン接種会場の事情などで（ワクチン溶液は10回分を1回で溶かすらしい）、接種者の理解や合意があれば積極的に混合を行っていると、こちらの医師が言ってました。厳密厳格な日本ではこうしたフレキシブルな対応ができないでしょうね。ＷＴＯは混合接種を否定的に言っていますが、欧州ではドイツやフランスの閣僚なども混合で受けたという報道などもあり、それほど珍しいことではないようですね。
日本は几帳面かつ厳格すぎて、かつ一人の死者も出さない、副反応などを許さないような気質があって、これは政府だけの問題ではなくて我々日本人という意味ですが、これが「コロナ前の社会に戻していきたい」という本来の大枠での方向性の邪魔をしていることもありそうです。理想主義と現実主義の違いともいえるかもしれません。ある程度のネガティブ要因は許容しなければ、なかなか社会活動の正常化には向かないかなと思います。こちらは3度目のワクチン接種の検討に入っており、日本とは周回先をいっている感じです。
なんだかワクチン談義になってしまってスミマセン。なんだか普通に商店もレストランでもカフェでも楽しめる生活は久しぶりです。オリンピックを控える中で、感染者数は増え、相変わらず様々な制約がある日本からきてちょっと息をついているような感覚があります。もちろん、こちらも変異株や環境変化でどうなるか予断は許しませんけどね。かつてはコロナ優等生と言われたシンガポールやオーストラリア、香港、台湾なども、施策だけではなく思い寄らない背景や変異株で苦しんでいたりもします。本当にコロナは厄介です。
ワクチン接種に批判的な方もいるかと思いますが、個人の価値観にタッチするつもりは僕も毛頭ありません。が、僕は少しでも多くの人に身近な愛する人のために早めにワクチンを接種してもらいたいと思う人間として書かせてもらいました。穏やかな日々が、早く世界に訪れますように。

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